強制競売後の新たな企て

エピソード7 (強制競売が終わり、新たな区分所有者が土足で乱入してきた)


これまでもお伝えしてきましたように、弊社が欠陥マンションを建てた南海辰村建設に対してマンションの瑕疵をめぐって裁判で争っているのは、マンションに入居されたお客様が安全に、安心して住める建物にするためです。言うまでもなく、安全で安心して住める建物をお客様に提供することは、私どもマンション事業者にとっての義務であると考えるからです。



<エピソード7>

~~~平成22年夏、専門家らによる調査から当マンションに耐震構造上の重大な欠陥があることが判明しました。弊社はマンションに重大な欠陥があることを管理組合員の皆様に伝えるために住民説明会を開きました。弊社はこのような欠陥マンションを建設した南海辰村建設に対して住民説明会への出席を求め、住民の方々に説明してもらいたいと何度も要請していたのですが、南海辰村建設からは結局何の返事も来ませんでした。

住民説明会において、困惑した管理組合員の皆さんからは、「管理組合として売主の大覚と施工者の南海辰村建設を裁判で訴える」という意見、「マンションの売買契約の解除と代金の返還を求める」という意見が出ました。

住民説明会に出席していた弊社の第一審弁護士は、住民側から訴訟を起こされると、自分の仕事が増え、受け持っている裁判(大覚 対 南海辰村建設)がやりにくくなるとの理由で、管理組合員の方々に知り合いの弁護士を紹介すると言いだしました。

実際にこの説明会の後、第一審弁護士は
知り合いの女性弁護士を紹介しましたが、この女性弁護士は打合せに1度来たのみで、その後は都合がつかないなどと理由をつけて来ませんでした。そのため、問題解決に向けての管理組合としての意見がまとまらず、住民の方々の苦情が販売会社である弊社に集中しました。

第一審弁護士にそのことを話すと「それならやめてもらえばいい」と自分には関係ないというようなはなはだ無責任な態度でした。

困っている住民の方々を黙って見過ごすわけにはいかないという思いから、弊社はやむなく希望する住民の方々には合意解除をすることを決定し、2度目の住民説明会で管理組合員の方々に伝えました。すなわち、希望者にはマンション売買契約を解除し、売買代金を返還しました。その総額は約7億円にも上りました。

本来ならば、欠陥建物を建てた南海辰村建設が建物の瑕疵について徹底的に調査し、住民の方々が安心して住める安全な建物にしなければならないはずなのに、南海辰村建設は初めから施主である弊社の話を聞こうとしないのです。その後、弊社による建物調査で、当マンションのいたるところで南海辰村建設はずさんな施工、手抜き工事を繰り返していたことがわかりました。そのことからも、そもそも南海辰村建設という企業は、お客様に安心して住める建物を提供するという建設業者としてあたりまえの考えを持ち合わせていないことがわかります。

ところが、このような南海辰村建設に対して、第一審では弊社の主張する建物の瑕疵は認められず、敗訴しました。

第一審の裁判を振り返りますと、敗訴の要因は、住民説明会で建物の耐震構造に重大な問題があることを説明した建築専門家らと第一審弁護士によって、弊社は「建替え一本」のみを裁判で主張するように仕向けられたことにあります。後に知ることになりましたが、現在の裁判では「建替え」ということは容易に認められないのが、建築裁判での通例です。完成した建築物を建替えることは、社会的に大きな経済損失をもたらすと判断されるためです。

第一審弁護士は法廷内で何も喋らず、相手側の主張に反論しませんでした。また、建物調査に関わった方々を証人として法廷に呼ぶこともありませんでした。さらに、建物調査をした建築専門家は後に南海辰村建設と繋がりがあることもわかりました。

このような第一審弁護士と建築専門家の主導による第一審訴訟では、当マンションが構造耐力上非常に危険な建物であることを証明する審議が尽くされていなかったと弊社は考えています。現在は控訴審において新たな弁護士とともに建物瑕疵の存在を主張し、立証を行っています。

さて、第一審判決を受けて、南海辰村建設に仮差押えられていた弊社の不動産物件が仮執行により、強制競売にかけられました。

昨年の秋、9月末から10月にかけて当マンションの引き渡しを受けていない49戸の競売が行われました。

落札された49戸の住戸の平均落札価格は、販売予定価格の実に20%という破格の下落率により落札されています。特に最上階(14階)の住戸については、販売予定価格3800万円の住戸に対して、設定された最低落札価格は29万円と不動産価値としては無きに等しい評価でした。

強制競売に入札していた不動産会社T社が49戸中36戸もの住戸を落札しました。管理組合はT社に対し他の区分所有者と同様、昨年12月に滞納管理費、滞納修繕積立金、修繕積立一時金等を支払うよう求めました。

これに対し、T社は「住戸の所有権を取得した日以前の支払義務はない」として、滞納管理費等の支払を拒否し、管理規約等の交付を求めてきました。

管理組合はT社に対して「滞納分を精算してから、管理組合への加入手続きをとってください」とお願いし、管理規約等の交付は滞納分の支払後に行う旨を伝えましたが、T社は管理組合に営業活動を妨害されているなどとして、平成27年3月大津地方裁判所に管理組合を提訴しました。

T社は「営業妨害されている」と管理組合を訴えていながら、インターネットの不動産情報サイトに落札した住戸の賃貸情報を掲載し、既に複数の落札住戸を賃貸として貸し出しています。

私たちは、T社が契約者に対して説明義務を果たしているのかどうか疑問に思っています。問題のある建物であるからこそ、破格の落札額で購入しておきながら、いざその物件を賃貸物件として貸し出すにあたっては、問題のない物件として住まわせようとしているのではないかと思われるのです。当マンションの賃貸・売買が進まないとしたら、それは建物に構造的に重大な瑕疵があるからであり、強制競売での落札価格がそのことを物語っています。

これほど瑕疵のあるマンションを36戸も落札し、建物に問題がないとして平然と賃貸を行い、新たに入居させるなどは、常識では考えられないことです。

「建物に瑕疵はない」と今でも言い続け、マンション住民の安全確保を顧みようとしない南海辰村建設と同様に、T社も利益だけを優先し、顧客の安全などまったく考えようとしない企業と思われても仕方ありません。

欠陥マンション問題が発覚して以来、南海電鉄および南海辰村建設から目に見えない大きな力で妨害を受けてきた弊社としては、南海電鉄グループが本件訴訟を有利に導くためにT社を送り込んできたと考えても不思議ではありません。
つまり、T社の落札した多くの住戸が賃貸物件として貸し出され、多くの住民が生活しているという既成事実が作られることは、あたかも本件建物に問題がないかのような印象を世間に与えることになり、それこそ南海辰村建設が望むところと一致しているからです。
(価値が下落したとはいえ、36件もの住戸をまとめて落札・購入するとなれば相応の資金が必要になるはずです…。T社は、いったいどのようにして資金を調達したのでしょう?)

「いくらなんでも、それはないだろう…」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、弊社の知る限り、南海辰村建設は目的のためならば手段を選ばない企業なのです。

最近、あるお客様に差し迫った事情が発生したため、その事情を理解し合意解除に応じた28戸目の住戸がありましたが、南海辰村建設はその住戸に対しても仮差押えしてきました。弊社がお客様の事情を理解し、道義上やむなく買い戻した物件に対してさえも、南海辰村建設は非情にも強制競売にかけようとしています。~~~





今後どのような形で、T社のような不動産会社が「建物に問題がない」として賃貸・売買を行い、当マンションがあたかも問題のない建物に見せかけようとしても、地下ピットが水没し立体駐車場が使えない。屋上に250トンもの余分なコンクリートが増し打ちされている。配水管が通っている危険な電気室。施工不良の防風スクリーン。違法なコンクリートの使用。基礎部分のコンクリートがバラバラなど、当マンションが住民の皆様にとって今でも危険な建物であることに変わりはありません。
 


読者の皆さま、次回「エピソード8」を楽しみにお待ちください。